キュリー夫妻が推しカプ(マリー・キュリー)

ミュージカル『マリー・キュリー』@銀河劇場

3階席センブロ最前列




また推しカプが死別してしまった


いやわかってたけどね??伝記読んだし(大昔に)……でもわかっててもつれぇわ。

虚構を混ぜた歴史ミュージカルならピエール生きててもいいじゃん!Fact×Fictionでファクションミュージカル!おい!!ファクションミュージカル!!!!(泣)って言いたくなっちゃうけどあの「予測不能で未知なるもの」のリプライズは間違いなく今作のハイライトのひとつだからさ……よき夫ピエール・キュリーを演じるよき夫上山竜治を見せてくれてありがとう ウワ〜ン上山竜治……!!また竜治さんが死んでしまったやないかい なんでや


予測不能で未知なるもの

この世の暗闇

粗末で侘しい部屋だけど

遥かな宇宙ここにある


ここのフレーズが本当に大好きなんだけど、1幕では研究室にひとりでいるピエールが歌ってリプライズではピエールを亡くしたマリーが歌う、パートの交換、なるほどね、ゥヮ……ふたりの宇宙は無限に広がって……もうね大泣きですわ

リプライズはピエール(霊体)(やめろ霊体になるなここにいろずっとマリーといろ!!!!)が導くように歌いだし、それを引き継いでマリーが上記のパートをひとりで歌う。美しすぎ……今も文章打ちつつたまにYouTubeで歌詞確認しつつだけどまだ思い出して鼻がツーンなってる。思い出しただけでも涙が出てくる作品なんてそうそうないし、2023年の1番は決まっちゃったなというかんじ。ちゃぴさんはこれで何らかの賞を取ってくれえ〜〜あんたが優勝だよ〜〜


夫婦のデュエットってこの1曲だけで、しかもその中身が「科学楽しいイエーーーイ!!俺とお前の出会いに感謝!ふたりとも天才で最強だからこれからもっともっとスゲエ発見ができそうだぜ!俺らめっちゃ最高!!」だもんな そうだよ君たち最高だよ🤜🤛

そんな最高で最強なふたりを見たあとの同じ歌詞でのリプライズ、堪える……これからはマリーはひとりで研究を続けていかねばならないのよ、遥かな宇宙で。


そういえば「また次の機会に」でマリーが大声出しちゃうシーン、あのあと仲直りしたのかわからんまま訃報が飛び込んできてなかったか?あれ……?ちょっと記憶に自信がないけどあれ以降ふたりのシーンが無かった気がするな?すれ違ったままあの別れだったのだとしたらきつすぎやしませんかね、これはリピートしないとわかんないや……いや円盤出してくれんかな……


ところで葬儀の朝(リプライズの前)にフワ〜ッと背後から現れる霊体ピエールを「あなたにはできる?もしあなたが私だったら!」とマリーが詰って泣き崩れるところ、

①葬儀に行って夫の死と向き合うこと

②今後ひとりで研究を続けていくこと

どっちに対してだろうと思ってたらさ…………検死…………アンヌのあのシーンを見せてからのそれ、ねえ…………そりゃあの慟哭だわ……とこっちが大泣きしちゃったもんね。ピエールの表情がほんとに愛に溢れてて優しくてさ〜貧乏に耐えながらふたりで研究に明け暮れてたあの頃と同じ顔してうしろからマリーを抱き締めるの、ほんとにアカンかったよね。「ピエール三角定規取って」を合図に姿を現すのもね、マリーの中ではまだ日常が続いていたし、観客俺もまだまだふたりの日常を眺めていたくて泣いちゃった……行かないでピエール キュリー夫妻一生一緒にいてくれ頼む ウウ……なんで竜治さんいつも死んでしまうん(人が死なない作品を観ないから)

検死結果を己の言葉で発表するマリーの毅然としたまなざし、立ち姿、声、全部目に焼き付けたよ。あなたは大丈夫、あなたは強い。



出会いのシーン含む研究内容の話してる時のマリー、ちゃぴさんが楽しそうに目をギンッて開いて早口でサラサラ〜って喋るからそれはただのオタクなんよと思いながら見てた。それは推しの話を振られた時のオタクなんよ。大好きだからいっぱい喋りたいんだよね。そんで同じくらいいっぱい喋ってくれたのはピエールだけだったんだよね、ポーランド人女性が当然のように色眼鏡で見られるあの時代(「ここに女子トイレは無ァい!」だもんな)、マリーの出自などは横に置いてただただ大好きな科学の議論をしただけのピエール。相手が誰かなんて関係なかった。

「研究室と仕事をくれませんか」って言われてやっとちょっと冷静になって、マリーのおもしれ〜女ぶりに気づきはじめるという流れがほんとに良くてな〜……「私は独身主義者なんです」って慇懃に頭下げるとこまでやっちゃう勘違いピエール恥ずかしくて可愛いしずっとネタにされてんだな。


最初のあの噛み合わなさからの次にふたりで出てきた時の意気投合夫婦ぶり、あまりのギャップに何?!となったし、独身主義者のピエールが熱烈プロポーズするに至るまでの話はめちゃくちゃ聞きたいに決まってるが、それを作中で描く必要はこの作品においてはない。だって見ればわかるもんな〜彼らが相手のどんなところを愛していてどれほど信頼し合っているか。

キュリー夫妻が推しカプなのは変に押しつけがましい恋愛描写がなく、でも確実に信頼関係があり、ふたりで完成する戦友だからなんだよな。そう、私は戦友カプが好き。



ミュージカルマリー・キュリーがすごいのは『科学者マリー・キュリー』を描くことに終始していることかなと。そこにミュージカルあるある馴れ初めラブソングは必要ない、物語の軸がブレるから。日本はヘテロ恋愛ものかそれ以外かの世界だしそれ以外の方がちょっと地位が低いじゃん?低いよね?ミュージカルに限らずだけど。消費者の想像力が乏しいのか興行側の発想力が貧困なのかわからないけども〜。恋愛は一番じゃないし今や普遍的なものでもないわけよ。

今作の評価をざ〜っと眺めてよかったなと思うのは、『それ以外』の方を受け入れちゃんと感動できる感性を持ったミュージカルファンがいっぱいいるって視認できたことかな……そうだよねこういうの見たかったよね……女が女だから評価されるのではなく、ただただ一人の人間として頑張って生きて認められて愛される物語がさ……。


愛だ恋だを描かない作品はこれまでもあっただろうけど、夫婦愛を確かにそこに顕在させつつもわざわざ歌いはしない、見ればわかるから、っていうのは役者への信頼ゆえなのかなって思いました。親愛の𝑲𝑰𝑺𝑺 & 𝑯𝑼𝑮だけで十分すぎるくらい(椅子に座ってるマリーをうしろから抱き締めてつむじにキスするの死ぬほどバクモエしてしまいましたね)いい夫婦なのが伝わったもんちゃぴさん竜治さん本当に素晴らしかった……いいコンビ!!ずっと共演してて😭

日本でもこういう作品がヒットするっていう前例ができればこれからもっともっと良作が入ってくるはずと信じて!ミュージカルマリー・キュリー、これから世界中で長く愛される作品になってほしいな。


大阪チケット足そうか本気で悩む程度にはもう1回観たい……………………見たとこまだチケットに余裕ありけりだからいきなり思い立って行くかもしれん